4.4.1 Hermite 微分方程式に関する計算

Hermite(エルミート)微分方程式

 微分方程式

(4.4.101)

の解は

(4.4.102)

である。(4.4.101) の両辺をさらに (n + 1) 回微分すると,

(4.4.103)

を得る。ここで,z

(4.4.104)

であり,

(4.4.105)

の形(u(x) は n 次の多項式)をとることがわかる。(4.4.105) を (4.4.103) に代入すると,

(4.4.106)

を得る。

 (4.4.106) は Hermite 微分方程式として知られ,その解

(4.4.107)

のうち,c = (-1)n の特殊解

(4.4.108)

n 次の Hermite 多項式とよばれる。

 0次から5次までの Hermite 多項式は以下のようになる。






漸化式の導出

 (4.4.108) の両辺を1階微分,2階微分すると,それぞれ

(4.4.109)

(4.4.110)

を得る。(4.4.109),(4.4.110) を (4.4.106) に代入すると,

(4.4.111)

となる。(4.4.111) を書き換えて,漸化式

(4.4.112)

を得る。

直交性の証明

 次に,

(4.4.113)

が直交系をなすこと,すなわち,

(4.4.114)

を示す。m < n とし,n について (4.4.108) を (4.4.114) の左辺に代入する。

(4.4.115)

 (4.4.115) の右辺は次のように書き換えられる。


  

(4.4.116)

 (4.4.116) の右辺第1項は,x = ±∞ において であるため 0 である。さらに,(4.4.109) と (4.4.112) から得られる関係式

(4.4.117)

を (4.4.116) の右辺第2項に代入し,

(4.4.118)

を得る。(4.4.118) の右辺の積分は,(4.4.115) の積分に含まれる mn がそれぞれ1減少した形なので,上記の手順を繰り返すと,

(4.4.119)

となり,直交性が証明される。

 また,m = n の場合は,

(4.4.120)

である。以上をまとめると,

(4.4.121)

となる。

調和振動子の波動関数の規格化

 調和振動子の波動関数 ψ

(4.4.3)

ただし,


である(Nn は規格化定数)。規格化条件および (4.4.120) より,

(4.4.122)

となるので,Nn は,

(4.4.4)

と求められる。

Revised: 2007-07-04