5.5 動径分布関数

動径分布関数 Rn,l(r)

  • 核−電子間距離 r のみに依存する

  • 主量子数 n と方位量子数 l で関数の形が決まる

n が 3 までの動径分布関数 Rn,l の具体的な形は以下の通りである。
ここでは,方位量子数 l = 0, 1, 2, ... の順にアルファベット s, p, d, ... で表記している。

n l R
1 0
2 0
2 1
3 0
3 1
3 2

ただし,

水素原子 (Z = 1) の場合の rR の関係を示したグラフ

Bohr 半径
 a0 = 5.292 × 10-11 m = 0.5292 Å

R = 0 になる点(節点=node)の数
 n - l - 1
    1s, 2p, 3d → 0
    2s, 3p → 1
    3s → 2

 微小空間 dτ に電子を見いだす確率 |ψ|2dτ は,dτ = dxdydz = r2 dr sinθ dθ dφ であることから,

(5.5.1)

となる。いま,核からの距離 rr + dr の範囲に電子を見いだす確率を P(r)dr とすると,

(5.5.2)

となる。rP(r) の関係を図示したのが,次の図である。

 P(r) は確率分布を表しているので,それぞれの曲線を 0 ≤ r < ∞ の範囲で積分するといずれも1になる。また,主量子数 n が大きくなるにつれて(1 → 2 → 3),核から離れた位置に電子が分布することがわかる。

  P が極大となる r
1s a0
2s 0.7639a0, 5.236a0
2p 4a0
3s 0.740a0, 4.19a0, 13.07a0
3p 3a0, 12a0
3d 9a0

Revised: 2007-07-02