アルケンへの HCl (H3O+) の付加

π 錯体

ファンデルワールス半径
  C: 1.7 Å, H: 1.2 Å

π 錯体の C–H 距離はファンデルワールス半径の和よりも短い。

ファンデルワールス面の表示

H3O+ が水和されている場合

アルケンの置換基が少ない側に H+ が接近する(Markovnikov 配向)。

 

軌道間相互作用

H3O+ の LUMO
σ*O–H

エチレン の HOMO
πC=C

HOMO と LUMO の重なりが最大になるように,O–H 結合が C=C 結合に垂直な方向から近づく。

H は非共有電子対をもたないので,bromonium イオンに相当する三員環中間体は形成しない。

B3LYP/6-31G* レベルの構造最適化計算では,propene や 2-methylpropene と H3O+π 錯体は得られず,H+ 付加後のカルボカチオンが安定構造として得られた。H3O+ に2分子の水分子を配位させ正電荷を分散させると,π 錯体の構造が得られる。

πC=Cσ*X–H の間の軌道相互作用という点において,C–H/π 相互作用と類似している。

H3O+ の LUMO がどうしてこのような形になるのか?
参考:CH3+ MO の構築