フェノールフタレイン(phenolphthalein)

 フェノールフタレインは酸塩基指示薬として使われ,pH 8.0〜9.6で赤色になる。

 酸性ではラクトン(環状エステル)型で存在し,3つのベンゼン環がそれぞれ孤立したπ共役系を形成しているので,紫外線しか吸収せず無色である。

 弱塩基性にすると,フェノール部分のプロトンがはずれ,それに伴う電子の移動によってラクトン部分のC−O結合が切れる。その結果,2つのフェノール部分にまたがった長いπ共役系が形成され(キノン型),より低いエネルギーで電子励起が起こる,すなわち紫外線より波長の長い可視光線を吸収するようになる。

 さらに塩基性にすると,中心炭素に水酸化物イオン(OH-)が付加し,その結果,3つのベンゼン環は再びそれぞれ孤立π共役系を形成するようになるので,無色となる(カルビノール型)。

 長いπ共役系ができるためには,π共役系に参加している原子が同じ平面上にありπ軌道同士の重なりが大きくなっていることが必要である。上に示したキノン型(着色型)では,2つのフェノール由来の環がほぼ同一平面上にある。

酸性(ラクトン型,非平面) 弱塩基性(キノン型,平面) 強塩基性(カルビノール型,非平面)