1.8 角運動量のベクトル表示

(1.7.6)

(1.7.7)

 (1.7.6) と (1.7.7) の意味するところは,「三次元空間内に任意の直交座標系を設定したとき,ある状態 ψ における角運動量の2乗および z 成分の観測される値は,それぞれ, である」ということである。

 ここで,もし角運動量の xy 成分も同時に確定すれば角運動量の大きさと方向は確定するが,量子論においては大きさ(←2乗値)と z 成分しか決めることができない。したがって,角運動量を三次元空間内のベクトルとして表示すると,ベクトルの先端は,高さ |lz| の円錐底面の円周上のどこかにあることになる(下図)。

l = 1 の場合

角運動量の大きさ  
角運動量の z 成分  

l = 2 の場合(すべてを重ね書きしてある)

Revised: 2007-07-02

l = 0 の場合は角運動量は0。