4 調和振動子

4.1 調和振動子の古典的エネルギー

x1 > x2

二原子分子の振動は調和振動子(いわゆる理想的なバネ)として近似することができる。

全エネルギーは,運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和であるが,調和振動子の場合,古典的エネルギーは以下のようになる。

運動エネルギー T

(4.1.1)

ただし,

  (速度)

(4.1.2)

第1項=分子の重心の運動エネルギー(並進運動エネルギー)

(4.1.3)

ただし,

  (全質量)

(4.1.4)

  (重心の座標)

(4.1.5)

第2項=分子の振動エネルギー

(4.1.6)

ただし,

  (換算質量)

(4.1.7)

  (核間距離)

(4.1.8)

平衡核間距離を r0 と置き,それからの変位を とすると,

(4.1.9)

ポテンシャルエネルギー V

Hooke の法則より(k は力の定数),

(4.1.10)

なので,ポテンシャルエネルギーは,

(4.1.11)

となる。

 x の時間変化は以下のようにして求められる。運動方程式と Hooke の法則より,

(4.1.12)

であるのでこれを解くと,xt の関係式は (4.1.13) になる(A は振幅)。

(4.1.13)

ただし,

  (振動数)

(4.1.14)

 全エネルギーのうち,並進運動エネルギーを除く内部エネルギー E

(4.1.15)

となる。内部エネルギーは時間に依存せず,エネルギー保存則が成立していることがわかる。

Revised: 2007-07-02