4.2 調和振動子の Schrödinger 方程式

 分子内部の振動エネルギーに対応する古典的 Hamiltonian は,(4.1.9) と (4.1.11) の和

(4.2.1)

で表される(p は運動量)。これを

(4.2.2)

にしたがって演算子に変換すると

(4.2.3)

となるので,解くべき Schrödinger 方程式は

(4.2.4)

である。ここで,k角振動数 ω

(4.2.5)

の関係がある。(4.2.4) の両辺に を掛け,

(4.2.6)

(4.2.7)

(4.2.8)

とおくと,(4.2.4) は

(4.2.9)

となる。

 まず,x → ±∞,すなわち ξ → ±∞ のときに (4.2.9) を満たす ψ について調べる。この条件では となるので,(4.2.9) は,

(4.2.10)

と近似できる。ξ → ±∞ で (4.2.10) を満たす ψ

(4.2.11)

の形である。このことは,(4.2.11) を (4.2.10) に代入すると,

(4.2.12)

となることから確認される。ただし,ψ は有限でなくてはならない(|ψ|2 は確率をあらわす)ので,(4.2.11) の指数は負のみ有効である。

 以上の考察より,ξ の全領域における ψ の解を次のようにおく。

(4.2.13)

 (4.2.13) を (4.2.9) に代入すると,u(ξ) についての方程式が得られる。

(4.2.14)

 (4.2.14) は Hermite(エルミート)微分方程式の形なので,解 u(ξ) は Hermite 多項式として得られる(4.4節)。

Revised: 2007-07-02