4.3 調和振動子のエネルギー

(4.2.14)

 (4.2.14) の u(ξ) を完全に求める前に,まずエネルギーについて考察する。u(ξ) は多項式として一般に次のように記述できる。

(4.3.1)

 u(ξ) の1階微分,2階微分を計算し,(4.2.14) の両辺を求めると

左辺

(4.3.2)

右辺

(4.3.3)

となる。左辺と右辺の ξn の係数は常に等しいので,(4.3.2) と (4.3.3) より

(4.3.4)

の関係式が得られる。

 ここで,u(ξ) が無限級数と仮定すると,(4.3.4) より

(4.3.5)

となる。一方,

(4.3.6)

における ξnξn+2 の係数の比 cn+2/cn は同様に,

(4.3.7)

の関係にあるので,ξ → ±∞ のときには u(ξ) は と同様の振る舞いをすることになる。しかし,ξ → ±∞ では は発散してしまうため,

(4.3.8)

も発散することになり,ψ が有限であることと矛盾が生じる。したがって,(4.3.1) で表される u(ξ) は有限であり,n 次項まで含むとすると,

(4.3.9)

が成立しなければならない。(4.3.9) より,

(4.3.10)

の関係が得られ,(4.2.6) と (4.3.10) より,エネルギーの期待値は

(4.3.11)

と求められる。(4.3.11) はエネルギーが連続値ではなく離散値をとること,および最低エネルギーはゼロではないこと)を示している。

Revised: 2007-07-02