10.7 振動子強度

 電子遷移の起こりやすさを表す指標として,無次元量の振動子強度を定義すると便利である。

 強度の基準として,水素原子の核―電子を調和振動子に見立ててその遷移確率をあてることにする。(10.6.7) を用いて,n = 0 から n = 1 への遷移モーメントを求めると,

(10.7.1)

となる。ここで,m は電子の質量である。

 単位時間あたりの遷移確率は

(10.7.2)

で与えられる。一方,一般の原子・分子が,状態 n から状態 n' に遷移する遷移確率は

(10.7.3)

なので,これらの比を振動子強度 f と定義する。

(10.7.4)

Revised: 2007-07-13