修士課程は、どのような学生が進学するところなのでしょうか。講義を通じて専門知識を深く学び、研究活動を通じて様々な実践的な知識や技術を習得し、将来、化学系企業の技術者あるいは研究者として活躍することを考えている学生を対象としています。現在、学部卒の学生が化学系の企業に技術者・研究者として入社できる可能性は低いものとなっています。化学系企業が技術者・研究者を採用する場合、修士課程を修了していることを要求しているからです。この傾向は大きな企業になればなるほど強くなります。科学技術は年々進歩し続けており、学ばなければならない知識や技術はどんどん増えています。皆さんが大学4年間で学んできた基礎的な専門知識や卒業研究の経験ではまだ不十分なのです。
修士課程では研究活動が中心になります。それを通じて、実践的な専門知識、最新の実験技術、分析機器の扱い方などを学んでいくことになります。また、講義で教えられる専門知識をただ覚えるだけではなく、実際の研究の場に応用できる知識が要求されます。自分が興味を持った内容を自分で調べ、主体的に学ぶことの楽しさを経験すると、専門知識は自然に増えていきます。修士課程の2年間で経験する研究での成功や挫折、教官とのディスカッション、仲間との交流、定期的に行われる研究報告、学会発表などを通じて、一人前の技術者・研究者として成長することができるのだと思います。
化学に対する旺盛な知的好奇心とフレッシュな感性とに満ち溢れた多くのみなさんがこの分野に進み、学ぶことの楽しさや未知の現象を発見することの興奮と感動を、ぜひ皆さん自身で体験してください。