学科紹介

化学科のすすめ

 「化学」は自然科学の基幹分野として、新しい分子や物質を生み出すことができる唯一の学問です。我々の社会はこの恩恵を受けて急速に発展してきました。高度に科学技術が発達した現在、化学は生物、物理、工学などの様々な分野との関係を深めながら広域化していると同時に、人類が直面しているエネルギー・環境問題を解決し持続的な開発目標(SDGs)を実現するために最も進展が必要とされている分野です


 本化学科では学生の能力や目的に応じた多様な方法で「化学」の知識や技術を提供し、従来の化学産業や今後発展していく新産業分野を支える技術者や研究者、あるいは理科の教育を志す人材などを育成します。
 「化学」はやればやるほど身につく学問です。本化学科で「化学」を楽しく学び、世の中に役立つ新しい分子や物質を自分の手で生み出す知識や手法を修得し、これからの激動の時代を生き抜く力を身につけてみませんか。


化学科では、SDGs推進の基本となる環境問題やエネルギー、新材料創出に関する知識を学ぶために様々な講義を揃えています。 
例)「化学環境論」、「環境分析化学」、「エネルギーの化学」、「安全化学」、「固体化学」など
 
  また、卒業研究での1年間および大学院での2年間を通して、研究力・開発力・発信力を修得し、社会の中でSDGsを実現していくための実践的な力を養います。 本化学科の計8つの研究室は化学の主要分野を幅広くカバーし、SDGsの実現を目指す研究活動を精力的に行なっています。 
具体的な研究例のいくつかを以下に示します。 
 
  ・未使用バイオ資源の有効利用による生分解性機能材料の開発(生体高分子研究室) 
  ・環境中の有害物質の検出とその輸送プロセスの解明(分析化学研究室) 
  ・低環境負荷合成プロセスによる高機能無機固体物質合成(無機物質化学研究室) 
  ・セルロース繊維の難燃化と低環境負荷プロセスを組み合わせた高分子複合材料の開発(高分子物理化学研究室) 



動画による学科紹介




4つの新コース

2020年度から卒業後のビジョンを明確に持ってカリキュラムを履修できるように4つのコースを設置します。
化学の素養と知識を持った社会に役立つ人材を育成します。

大学院早期進学コース
企業・公的機関での研究職を目指し、大学院へ早期進学します。
3年次から希望する研究室に配属されて早期に研究活動を行うことが可能です。さらに、成績と本人の希望により本学大学院への進学を前提に、3年次終了時に大学を卒業する早期卒業が可能です。この場合、大学入学から計5年間で大学院まで修了することができます。また、推薦による本学大学院への進学も可能です。

先端化学コース
企業での技術職を目指し、先端化学の知識を習得します。
「バイオ・有機物質創成プログラム」、「生体・環境分析プログラム」、「マテリアル創成プログラム」の中から自分の好きなプログラムを選択し、より専門的な分野を学びます。また、「先端化学実験」を履修することで3年次秋学期から研究室に配属して研究を行うことが可能です。

教職支援コース
化学の素養を持った中学・高校の教員を目指し、教員免許状(理科)を取得します。
「教職のための化学」、「教職のための物理」、「教職のための地学」、「教職のための生物」の講義を通し、化学だけでなく他の教科の専門知識も身に着けます。また、これまでは卒業単位とは別個に取得する必要があった教職科目の一部が卒業単位として認定されるようになりました。実践的な授業を通して教員採用試験の現役合格を目指します。

資格支援コース
企業での技術スペシャリストを目指し、化学系資格を取得します。
危険物取扱者(甲種)、環境計量士(濃度関係)、毒物劇物取扱責任者、公害防止管理者(水質)、放射線取扱主任者、技術士補(化学)、エックス線作業主任者の資格取得を支援する講義が開講されています。また、取得できた資格の一部は卒業単位として認定されます。

卒業生からの声

甲種危険物取扱者の資格を取り技術職へ

 化学科に入学してから、多くの実験・関連する専門科目を受講してきましたが、3年生のとき「安全化学」という講義を受けたのがきっかけで甲種危険物取扱者の資格を取得しました。
 現在、産業廃棄物の中間処理会社に勤務しており、廃棄物を安全かつ適正に処理するための分析・評価に携わっています。
 産廃には引火性の高いものや有毒なものなど、危険物もたくさんあるため、そういう危険物を扱う際に、大学で学んだことや甲種の知識が役立っています。今後は、それらの知識に加えて、産廃に関する知識もより多く身につけることが目標です。

                 

教採試験合格&大学院進学

 僕が岡山理科大学の化学科を選んだ理由は化学が好きであったことと、教員になる夢があったからです。大学の化学は高校の化学よりも専門的になり、理論的な解釈を学べました。
 僕は早期研究室配属制度を利用し、3年次から研究をはじめ、研究の難しさや実験の進め方を学びました。また、岡山理大には教職専門の先生方も多くいます。その先生方は教員採用試験の対策が手厚く、元校長先生だった方からは実際の現場の声を聞くことができ、とても心強かったです。
 現在は、よりよい教員を目指して他大学の大学院教育学研究科に進んで学んでいます。僕は岡山理大で夢を叶えられたので、皆さんもここで夢を叶えてください。

大学院での高度な研究を活かした材料開発へ

  目に見えない小さな原子を自由に取り扱うことができる化学の面白さに魅せられて化学科に入学。印象に残っている授業は化学プレゼンテーションで、グループのみんなと一緒に議論した思い出があります。
  大学院では有機ELに応用可能な分子を開発。自分で合成した分子の構造や性質を調べることで、有機分子の持つ奥深さを感じることができます。
  修了後は、半導体や医療品中間体製造のメーカーに勤め、フラスコスケールの合成を工場での大量スケールに展開するための部署で働いています。大学院で学んだ高度な有機化学の知識や研究室で培った有機合成の技術を応用して仕事に取り組んでいます。

化学科での学びを小学校教育に

  子供の頃から教壇に立つことが夢で、理科の面白さや日常に科学があふれていることを子供達に伝えたいと思い、専門性を磨くために化学科を志望しました。化学科では、自ら計画を立て、見通しをもちながら研究に取り組むことで、試行錯誤しながらも思考力が着実に身に付くことを実感しました。
  教育現場では、各教科の学習や学級運営など試行錯誤の毎日です。うまくいかないこともありますが、化学科で培った「見通し」で物事を進めていくことで、教師として更に成長していきたいです。また、化学科で習得した専門知識は、問題解決に向けた学習の実践や物事・現象に対する視点を教える際に役立ちます。今後はこのことを他の教科にも生かしていきたいです。

飛び級で大学院に進学

  入学時に早期研究室配属プログラムというものがあることを知りました。このプログラムでは、3年生から研究室に入って最先端の研究に携わることができます。また、一定の成績基準をクリアすると3年間で大学を早期卒業して岡山理科大学の大学院に進学できると知り、目指すことにしました。
  3年生で研究室に入り、燃料電池への利用を目指したプロント伝導体としての生体高分子について研究し、生体高分子材料の面白さに触れました。早期卒業には届きませんでしたが、飛び級制度を利用することで大学院に1年早く入学しました。大学院の研究では新たなプロント伝導体についてより深く探求しています。
  また、研究成果をまとめ、学会などで発表する能力は社会で生きていくうえで必ず役に立ちます。身に付けた能力を生かし、社会に貢献できるように努めていきたいと思います。

化学好きな中学生を育てたい

  高校までの化学の授業は、知識は得られても実際に実験する機会はとても少なかったと感じていました。しかし、化学科では化学の専門的な知識を多く学べて、実際に実験を投資て確かめることができました。「原子の数が1つ変わるだけで化合物の性質がこんなに変わるんや」「教科書に載っていた反応を行うと匂いや色、反応の様子はこうなるんや」など、知識しかなかったものが実験を通して経験できて、とても楽しく充実していました。
  私は今、中学校で理科の教師をしています。私が化学科で学んだ「『化学』ってすごいんやで」「めっちゃ面白いんやで」と子どもたちに存分に伝え、理科が好きな子どもを増やせるようにしていきたいです。

学部卒業で憧れの研究職に

  私は、中学生の時から1番好きだった理科をもっと学びたくて化学科を志望しました。1年生から化学実験にたくさん触れられる化学科で、より化学が好きになりました。加えて、4年生の時に生体高分子研究室で、卒業研究を進めていくうち、研究職に興味が出ました。
  現在、セルロースを用いた新素材開発に取り組んでいます。入社当時は、学部卒で企業の研究に携われ、貴重な経験ができていると感じる一方で、自分にこの仕事が務まるのかという不安もありました。ですが、化学科での講義や学生実験で得た基礎学力と、研究室での経験が大きな糧となり、自信をもって研究に取り組むことができています。
  今後は、自分の生み出した素材の製品化を目指して研究業務に努めていきます。

大学院に進学し、現在、研究職

  私の化学科志望理由は『教育学部ではなく、化学科出身の高校教師になりたい。』でした。入学後は化学と教職科目の勉学に励み、3年生の時に特待生に選ばれました。
  これまでに学んだ化学の知識とテクニックを基盤に研究を行うことに魅了され、大学院に進学しました。教職の免許は取得しましたが、大学院修了後は、企業での研究職を選択し、ゴム材料の開発を行なっています。
  私の仕事は、将来、需要が見込めるモノを発想し、つくり方を考案し、実現することです。このためには、『挑戦→失敗or成功→考える』の繰り返しが基本で、入社して研究対象が金属錯体からゴムに変わっても、学部・大学院で6年間学んだ研究経験が生かされています。

化学的視点で食品の研究開発

  私は高校の頃、将来は高分子化学に関係する仕事に就きたいと考え化学科を志望しました。化学科では、化学の知識だけではなく化学的な視点から問題を解決する考え方、また1年次からレポート作成をみっちりと経験したことで仕事での報告書の作成などにつながる基礎力を同時に培うことができました。
  現在は、商品開発グループで主に豆腐や豆乳などの大豆食品についての研究開発を行なっています。豆腐は豆乳(タンパク質)に苦汁を入れ架橋反応させた食品で、卒業研究で行なった高分子のゲル化の知識を活かして化学的な視点から商品開発に取り組んでいます。研究ばかりだと煮詰まってくるため、適度にリフレッシュしながら今後も頑張っていきたいです。

卒業研究で野外活動?!

  私は在学中の4年間で化学の専門知識と、化学科ならではの実験器具や装置を使用できる面白さを学びました。また、化学が私たちの生活にどのように関わっているのか、実際に実験を通して学ぶこともできました。
  卒業研究では河川水中に微量に含まれるフミン酸という物質を定量するため、河川水の濃縮方法を検討しました。私の研究では、色々な川に水を採取しに行くといったアクティブな側面もあったので良い思い出になっています。
  私の職業では化学が直接関係することは少ないですが、化学科の学習を通して培った試行錯誤する力やPC処理能力などが役立っています。

学びの特徴と3つのポイント

化学の素養をもった研究者や教員を育成。教員免許状や化学系資格の取得を強力にバックアップ。本化学科では、化学的観点から豊かな社会を切りひらくべく、新素材開発につながる基礎研究をはじめ、発光材料や電池材料といった機能性材料の創成や、環境および生体分析の新手法の開発などについて研究しています。卒業後、社会に出て活躍するためのビジョンを明確にもってカリキュラムを履修することができるよう、2020年度より「大学院早期進学コース」「先端化学コース」「教職支援コース」「資格支援コース」の4コースを設置。化学の素養・知識をもった社会に役立つ人材を育成します。

point
化学の素養を身につけ、それらを活用できる人材の育成
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化学に精通した教員・教育人材の養成
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大学院進学を見据えて3年次で早期卒業できる

沿革

昭和39(1964)年
岡山理科大学創設と同時に理学部化学科が設置される。
昭和49(1974)年
化学科、応用化学科を母体として大学院修士課程化学専攻が設置される。
昭和53(1978)年
化学専攻、応用物理学専攻を母体として大学院博士課程材質理学専攻が設置される。
平成15(2003)年
学部コース(Gコース)、学部・大学院一貫コース(Mコース)が設置される。
平成23(2011)年
「バイオ有機薬品コース」、「環境分析コース」、「新エネルギーコース」が設置される。
学部・大学院一貫コース(Mコース)を継承・発展させる形で「Sプログラム(早期研究室配属プログラム)」が設けられる。
平成26(2014)年
化学科創設50周年を迎え、本学にて記念式典を開催する。
令和2(2020)年
「大学院早期進学コース」、「先端化学コース」、「教職支援コース」「資格支援コース」の4コースが新たに設置される。