Beckmann 転位

Cyclohexanone oxime の Beckmann 転位

 

Acetophenone oxime の Beckmann 転位

E

 

 

Z

 

この計算では溶媒効果を考慮している。CPCM法を用い,溶媒は水(ε = 78.3553)としている。

この計算では,水分子がいったん解離した構造(nitrilium cation)でエネルギー極小とはならず,一気に水分子の再付加まで起きる。これは,環のため nitrilium cation が直線構造をとることができず不安定なためと考えられる。

溶媒効果を考慮せずに計算すると,反応物 R(N−O = 1.82 Å),生成物 P(C−O = 2.25 Å)のいずれでも水分子が解離した構造で安定となる。

活性化エネルギーは,
ΔE(TS − R) = 14.79 kcal/mol。

Acetophenone oxime の場合は環構造に伴う制約がないため,転位後は直線状の nitrilium cation の構造となり,これはエネルギー極小構造である。

E 体の活性化エネルギーは,
ΔE(TS1 − R) = 6.84 kcal/mol。

Z 体の活性化エネルギーは,
ΔE(TS − R) = 18.35 kcal/mol。